チーム・マネジメント

有人宇宙の運用管制から、チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

限りあるリソースの中で 【パレートの法則】

時間に追われ、やるべき仕事が積み上がっていく、それは日常かもしれません。運用管制でも例外ではなく、1秒、1分を争うタスクがあり、次から次へと作業依頼・リクエストが届き、その対応に追われます。そんな中でもシステムに不具合が生じれば急いで対処しなければなりません。


ミッションを達成するため、利用可能な資源(リソース : Resource)を有効に活用することが求められます。リソースの種類も様々ですが、時間、人、物資、財源、エネルギー、情報などがあげらます。現場で常に不足して、直ぐに対応できるのは、時間と人でしょうか。


どのくらいのリソースをタスクに割り当てるのかは難しい課題です。全てのリソースを一つに集中させれば達成でますが、他の積み上がってくるタスクに押し潰されます。それに対して、全てのタスクに対してリソースを分散させて進めると、最終的に何も達成できなくなる危険性があります。


リソース配分において参考となる指針として、イタリアの経済学者パレートが発見した「パレートの法則(Pareto Principle)」別名では「80:20の法則」があります。パレートの法則は「経済結果の80%はそれを生み出す要素の上位20%から生まれる」という経験則です。この法則は、経済学だけではなく、様々な分野でも当てはまります。


チームでいえば、20%のメンバーが80%の成果をあげ、20%のメンバーが80%の意思決定を行っていると言えます。客観的に見てそれは事実だと感じます。だから、仕事を頼むならば一番忙しい人を選べと言われます。また、優先度の高い20%のタスクを実施すれば、80%の成果が得られることになります。ただし、注意すべき点は上位20%のタスクを実施したとしても100点にはなりません。


時間についても、80%の完成度を上げるためには完璧にするのに必要な時間の20%程度で良いですが、完璧(100%)を求めると残り80%の時間が必要となります。プロジェクトが忙しい時、綺麗な資料を作るなと言われました。その資料は技術的な文書であり、顧客向けや広報用のような質の高さは求められていません。以前に評価される基準を考えないでプレゼンテーション資料を作成して失敗したこともあります。


作業効率と手抜きは紙一重となる時もあります。業務内容や品質要求等に応じて、アウトプットの完成度を明確にしておく必要があります。


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参考文献

 

  1. Developing the Leader Within You
  2. 和訳 あなたがリーダーに生まれ変わるとき―リーダーシップの潜在能力を開発する
  3. なぜ、「異論」のでない組織は間違うのか