チーム・マネジメント

有人宇宙の運用管制から、チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

シフト勤務の大変さ 【体内時計をズラす】

便利の世の中になり、24時間営業も珍しくない時代になりました。朝出社して夕方帰宅する、そんな普通の勤務をここ数年したことありません。シフト勤務、特に夜勤の大変さがよくわかります。500万年前に地球上に人類が誕生して、日が登ると活動を開始し、日が沈めば休息する。そんな生活が繰り返されてきました。エジソンが電球を発明したのは1879年であり、その後、夜になっても街は明るく灯され、家庭にも電灯が付きました。深夜まで残業そして夜勤が始まったのも、人類誕生から考えると最近のことになります。


500万年もの時代を経て、人間には体内時計が埋め込められていることが発見されています。体内時計はサーカディアン・リズム(Circadian rhythm)とも呼ばれており、約24時間11分の周期で変動する生理現象です。Circadian rhythmは、ラテン語の「約、おおむね」を意味する「circa」と、「日」を意味する「dies」から名付けられました。


サーカディアン・リズムに従って、1日の中で体温、血圧、心拍数などが変動します。我々のようなシフト勤務の従事者は、このリズムに逆らい、リズムをずらし、変えようと、内なる闘いの日々です。本当に上手く調整しないと寿命を短くしてしまいます。


夜勤において感じるのは、夜勤前に十分な睡眠をとっていても、朝の4時から5時頃は意識レベルの低下を感じます。朝方、人間は生理的に体を休めようとします。シフト勤務に従事するならば、当然この特性を理解して、その時間に集中力が必要な作業を割り当てない、計画的に休憩を取ることを心がける必要があります。


サーカディアン・リズムは約24時間11分周期と正確な1日ではありません。厳密に地球の1日は24時間ではありませんが、毎日10分くらい遅れることになります。このズレは、朝日を浴びるとリセットされることが分かってきています。夜勤の疲れは残っていますが、朝の6時頃を過ぎると、睡魔からも少し解放され、意識もクリアーになっていくのを感じます。


航空機で時差の大きい海外へ渡航した時、サーカディアン・リズムの乱れによって、突然睡魔が襲ってきたり、寝ていたら深夜に目が覚めて寝れなくなったなどの時差ボケが生じます。サーカディアン・リズムをいきなり数時間ズラすことはできないからです。現地で時差ボケにならないために、渡航数日前からそして航空機の中で現地時間に合わせて行動(例えば、現地時間には合わせて仮眠を取る)してみてはどうでしょうか?



参考文献