チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

気高い気質を持って 熱く生きるということ【情熱】

医師は人の痛みを取り除く職業である。当然、世のため人のための思いがなければ医師であってはならないとさえ思う。「この人を絶対に助ける」という、熱い思いを持って、真剣勝負をしなければならない。熱い思いで一生懸命になることが大切なのは、何も医師の世界だけのことではない。会社であれ、お役所であれ、お店であろうが、その存在と仕事が、世のため人のためになってこそ価値がある。 心臓血管外科医 天野 篤

 大きな目標や志を達成するため、必要となってくる人間の資質として、最も重要なものは熱意なのかもしれません。例え、達成が困難なミッションであっても、熱意を秘めた人間だから、経済性や効率を考えたら切り捨てられてしまうことでも、やり遂げることができます。
 システム化・機械化を進めて、人工知能 (AI; Artificial Intelligence)を活用して最適な解を求め、省力化を図れば、業務の効率化を進めることはできるでしょう。経費削減という経済的な利益は上がると思います。ただし、その傾向が進めば、成功する可能性が少ないことや世界の価値観を革新することは実現されなくなります。全てが機械のように決まったように動く、正にイノベーションのジレンマ (Innovator's Dilemma)です。
 これまで先人たちの回想録を拝読させて頂きました。目標を達成するには、時として狂気とも思える「熱意、情熱 (Aspiration)」を秘めることが不可欠に思えます。スティーブ・ジョブス(Steve Jobs)によるiMacIPod/iTune、iPhoneなどの製品を生み出す力 そして 社会を変革していった姿にも象徴されています。今日では、電気自動車 テスラ、ソーラーシティ、ファルコン(Falcon)ロケットを進めるイーロン・マスク(Elon Musk)もそうでしょう。

 

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)などのグローバル企業で社長職を歴任してきた新 将命さんは、情熱がなければ偉大なことは何ひとつ達成できない、「能力5倍、情熱が100倍」とも語っています。能力は5倍くらいの差しかありませんが、情熱は100倍もの差になります。能力ではなく情熱こそが、仕事ぶりを大きく変えると訴えています。そして、情熱に関する人間のタイプを5種類に区分しています。

「自燃型」… 誰に言われなくても自ら進んで情熱の火を燃やし、燃えた火を持続させる人
「可燃型」… 自分からは燃えていないが、誰かがマッチを擦ってくれれば燃える人
「不燃性型」… 自分からも燃えていないし、人がマッチを擦ってくれても燃えない人
「消化型」… 折角ついた情熱の火を消してまわる人
「点火型」… 可燃型人間の心に情熱の火を灯すことができる人

 理想としては全員が「自燃型」であるべきですが、チームとしては「可燃型」と「点火型」が揃えば、チームとして高い推進力を維持することができます。「不燃性型」は置いておいて、問題なのは「消化型」の人です。ようやくやる気が出て来たときに、冷や水を浴びせられたら、ゼロから立ち上げるよりも大変です。

 

 情熱を起こすには、人間として根本として持っている感情や情緒から生まれてくる気がします。最初は、些細な希望、感謝の気持ち、自ら選んだ決意などから芽生えて、それが大きくなって情熱に育っていきます。そして情熱を秘めれば、迷いもなくやるべき事に邁進することができます。

 ただし、邁進する方向は正しいかを常に省みる必要があります。人間として正しくない方向に進んでしまっては、情熱が無駄に浪費され、社会の道義に反する結果を招くかもしれません。歴史を振り返っても、第二次世界大戦中に米国のマンハッタン計画(Manhattan Project)にて原子爆弾(Atomic Bomb)の開発が進められました。科学者や技術者の情熱によって原子爆弾が実現のものとなり、その後、広島そして長崎に投下され、人間が生み出したと思えない悪魔の力が解放されてしまいました。

 情熱は諸刃の剣(つるぎ)ともなりえます。人間だから自らに宿る情熱を理解して、正しい姿勢を身につけて、志を高く進んでいく。それほど気質がなければ、情熱を活かすことはできないのかもしれません。

新しき計画の成就は只(ただ)不屈不撓の一心にあり。さらばひたむきに、只想え、気高く強く、一筋に  京セラ名誉会長 稲盛 和夫

 

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参考文献

  1. 熱く生きる
  2. 経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目
  3. 第8の習慣 「効果」から「偉大」へ
  4. 燃える闘魂
  5. やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける