チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

日本の航空史から何を学ぶのか? 【海軍の教え】

目的を持った人の集まり(組織) すなわち チームを考えるにあたり、歴史から学ぶことも多いです。航空宇宙を学んでいると、零戦零式艦上戦闘機)が登場して、零戦の主任設計者が堀越 二郎氏であることはよく聞かされました。

その後に文献を読んで知ったのですが、零戦のテスト飛行において2度の空中分解を起こして堕落しており、奥山 益美氏、下川 万兵衛氏が殉職しています。零戦の栄光も犠牲者たちの功績の上に成り立っていることに気付かされます。教科書には語られない真実です。そして、零戦とともに多くの先人達が空に散っていったことも。

日本における航空史を学ぶ時、航空機を製造・所有していた日本海軍の歴史から入ることになります。学校の歴史授業では深く触れることはないので、二度の世界大戦を乗り越えてきた時代について調べるようになりました。今でも記憶に残っていますが、アメリカの航空博物館に零戦が飾られ、死闘を重ねて帰還された零戦パイロットの坂井 三郎氏について解説がありました。

戦争に突き進んだ昭和の軍事体制を知りたいわけでは無いですが、日本人として近代史を知らないというのは、恥ずかしいというか、無知すぎて国際社会で相手にされない可能性さえあります。歴史は脚色されて後から作られたこともあり、自分なりに学んで真実を読み解いておくことが重要と考えるようになりました。実際にはまだまだ勉強不足です。

ここでは日本海軍に受け継がれ、現代では日常でも用いられている言葉や考え方について取り上げていきます。

勝って兜の緒を締めろ
日露戦争を勝利に導き、明治に日本を守った東郷 平八郎提督の言葉として、連合艦隊の解除式にあたって『古人曰く、勝って兜の緒を締めろ』と訓示しました。

今ひと時を勝利したからといって、緩んで備えを怠れば、その栄光も直ぐに奪われてしまう。勝ったからこそ、奢らず謙虚になり、気持ちを引き締めなければならないことを語り継いでいます。

五分前の精神
現代でも引用されることが多いですが、何事も予定時刻の五分前には準備ができていることを鉄則としています。組織として行動するに当たり、1名でも時間を遵守しなければ、他のメンバーの貴重な時間を無駄にしてしまいます。また、事前に準備を開始しても、問題が発生すれば予定時刻までに間に合わなくなります。

五分前に準備ができていることで、定刻通りに組織(チーム)の活動を開始ができます。問題が発生したとしても、五分以上あれば関係各署への連絡が取れ、他のメンバーの無駄な待ち時間が生じないので、影響を最小限にできます。

出船の精神
『出船』とは、航海を終えて母港に帰港する時、入港前に反転して後進で横付けを行うことです。

そこから、いかなる時でも事前の準備を済ませ、発生した事態に直ちに応じられるように、前向きの態勢を整えておくべきであるという心構えです。

宜候(ヨーソロ)の精神
船乗り用語で、面舵(オモカジ)は船が右回頭する際、取舵(トリカジ)は船が左回頭する際、そして宜候(ヨーソロ)は船が直進する場合に用いられています。

『宜候の精神』というのは、何事でも目的を達成するまで、他のことを考えず、精神を集中してそのことに打ち込まなければ、決して立派な仕事を成し遂げることはできないことを伝えています。

山形鋼(Angle Bar)/たわみ線(Flexible Wire)
山形鋼(Angle Bar)はL字型の鉄棒であり、たわみ線(Flexible Wire)は柔軟な鋼線を編んだワイヤーのことです。

山形鋼は硬直で限られた箇所にしか使用できないが、たわみ線は融通性があって様々な用途に使用できることから、千変万化する海上で働く艦乗りは、固定観念に捉われてはならないという意味で使われていました。

五省
一、至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか
〔誠実さや真心、人の道に背くところはなかったか〕
一、言行(げんこう)に恥づるなかりしか
〔発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか〕
一、気力に缺(か)くるなかりしか
〔物事を成し遂げようとする精神力は、十分であったか〕
一、努力に憾(うら)みなかりしか
〔目的を達成するために、惜しみなく努力したか〕
一、不精(ぶしょう)に亘(わた)るなかりしか
〔怠けたり、面倒くさがったりしたことはなかったか〕

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参考文献