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チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

逃げいてく失敗を記録する【ハインリッヒの法則】

事故教訓 業務改善
失敗(Failure)と聞いて、負の印象しか抱かないかもしれませんが、失敗をしないように怖れて生きていくことで良いのでしょうか。本当に、失敗は負の側面だけでしょうか。失敗にも多くの種類があり、単純なミス、注意不足、検討が十分でない、新たな発見が得られた失敗もあります。

失敗を避けるあまりに、挑戦をせず、小ぢんまりと無難に済まそうとしたり、規則に従って決まったことのみを担当することになります。それでは、将来に向けて画期的なイノベーション(Innovation)は起こせそうにありません。

米国において様々なイノベーションを起こしている動きとして、挑戦的な変化を可能な限り多く実験して、そのような実験を100回そして1000回実施した中から成果を得ることが勧めらています。逆にそれくらい挑戦しなければイノベーションは起こせないということでしょう。

イノベーションのキッカケとなる失敗は、通常の組織ですと隠れて見えなくなります。「失敗情報は隠れたがる」「失敗原因は変わりたがる」と言いますが、失敗に直面した時には、これを隠そうとする心理が働きます。そして、組織が失敗の排除を進めるほど、悪い話は上部に伝わらなくなる現象が発生します。

苦情処置に関して、苦情を伝える、すなわち 改善してほしい内容があると捉えれば、苦情には多くの改善提案が含まれており、時間を取ってまで苦情してくれたことに感謝できます。それを嫌なことと捉えると、失敗情報は生かされず、負のスパイラルに突入してしまいます。

失敗の深刻度には段階がありますが、重大な事故に至る前に膨大な失敗があります。労働災害を統計的に分析して有名なハインリッヒの法則(Heinrich's Law)があります。
ハインリッヒの法則(Heinrich's Law)
1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、さらにその裏にはケガまではないもの300件のヒヤリとした体験が存在する。
ハインリッヒの法則を認識すれば、先ずは300件のヒヤリとした体験を防止して、重大な事故を防ぐことができます。そのため、ヒヤリ、ハットした体験を報告するように、ヒアリハット報告制度が設置されています。個人的な見解ですが、実際にはあまり機能していないと思われます。

その理由として、チーム・組織における失敗に対する考え方が現れています。基本的な考えが減点主義であるならば、失敗報告が人事評価や処罰の対象となります。失敗情報は隠れて、表面には上がってこないで、生かされず埋もれています。

今日まで機能している報告制度がとして、米国の航空安全報告制度 (ASRS : Aviation Safety Reporting System)があります。ASRS発足後は航空監督機関が運用しており、報告件数が少なく、制度として失敗していました。その後、第三者研究機関であるNASAへASRSの運用を移管されて成功しています。2013年では8万件にも及ぶ報告が提出されたそうです。

ASRSは、免責性(報告者が処罰されないこと)、秘匿性(匿名性を堅持すること)、公平性(第三者機関が運用すること)、簡易性(手軽に報告できること)、貢献性(安全推進に貢献していること)、フィードバック(確実に役立っていることを本人に伝えること)の上で成り立っています。


参考文献