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チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

正確な情報伝達のための工夫について【管制用語】

業務において、コミュニケーションの重要性が問われない日はありません。基礎となる正確に情報伝えるためには、非言語の要素もありますが、言語による伝達が重要となってきます。文学ならば作者の個性がある表現が好まれますが、技術的には簡素で明確な表現が求められます。ある面では無味乾燥な表現が使われます。そのため、ユーモア(humour)やウィット(wit)を挟むことで人間味を持たせてくれます。
 
使用する言語について、数式を用いて表現した場合、数学を学んだ者ならば同じ内容を理解することができます。プログラム言語ならば、プログラム・コードに書いた通りに迷いなくコンピュータは実行します。プログラムに一部バグがあれば、コンピュータは文法エラー(Syntax error)などのメッセージを表示して実行を停止します。それに対して、人間が一部に誤記を伴う情報を受け取ったとしても、経験に基づいたり、状況を理解して、自ら訂正することができます。
 
ただし、発信者が正しく情報を伝えたとしても、受信者が誤って解釈してしまえば、問題発生や事故等につながります。伝達ミスを防止するため、受信者が伝わった情報を復唱して、正しく伝わっていることの確認を徹底します。発信者が受信者へ伝え、受信者が発信者へ返信するため、2方向交信(two-way communication)と呼ばれます。
 
業務において伝える情報には多くの専門用語(terminology)が含まれます。専門用語は共通の概念を想起させる言葉であるため、専門家の間では、誤解を招くことなく、伝える内容を手短に済ますことができます。専門用語を理解していない者にとっては、暗号を聞いているような状況に置かれます。新任ならば先ず専門用語を覚えることが求められます。
 
英語ならば、略語(abbreviation)や頭字語(acronym)が飛び交います。通常の日本人ならば語彙力は十分でないため、初めて聞いたときに通常の英単語と区別もできず、辞書で調べても載っていません。略語や頭字語になる前のフルスペルが分かれば理解できるかもしれません。よって、業務で使用される特有な略語・頭字語リストを入手することから始める必要があります。
 
限られた交信手段を用いて宇宙飛行士へ説明するにあたり、第一に"Big Picture"を提示することが求められます。Big Pictureとは、全体像または統括的な展望のことです。現状において問題となっていることは何か、作業の目的や達成すべきことは何かを理解していれば、細かな作業の意図が理解でき、最も適した方法を選択することができます。日常の会話においても重視すべきことで、 まず概要を伝えてから詳細に入るべきです。
 
口頭で説明する上で、受信者のことを考えて話すことは当然です。人間の脳は、一度に大量の情報をインプットすると溢れてしまい、それ以上は理解できなくなります。伝達する情報量を制御して、確実に伝える必要があります。この構造はビール瓶にも例えられ、水を注ぎ込むには、小さな口から水があふれないように工夫して、慎重に行わなければなりません。
 
発信者から受信者に情報が伝わり、受信者が理解するまでには、時間差(timelag)が生じます。そのため、話す速度をゆっくりにしたり、適時に間を取ることによって調整しなければなりません。
 
管制において多くの会話が混線している中で、情報を伝えないとならないため、 簡潔で明確な会話(crisp converstation)が求められます。長文は誤解を招きやすいため、情報も細切れに分割して、理解しやすい内容にしてから伝えます。そのために活用されている管制用語の例やPhonetic Alphabetを参考に掲載します。
 
【管制用語の例】
Affirm(ative)  その通りです。
Negative   違います。
Copy    了解しました。
Disregard  取り消します。
Read back  復唱して下さい。
 
欧文通話表(Phonetic Alphabet)】
無線通話などにおいて重要な文字・数字の組み合わせを正確に伝達するため、国際的な頭文字の規則。曖昧性を排除するため、アルファベットを独特の呼び方で発音します。例えば、EARTHならば、エコー(Echo)、アルファ(Alpha)、ロメオ(Romeo)、タンゴ(Tango)、ホテル(Hotel)と読み上げます。
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参考文献