何事も起こるべくして起こる 【マーフィーの法則】
学術的に提言されたわけではないですが、有名な経験則としてマーフィーの法則(Murphy's Law)があります。色々なバージョンがありますが、基本的な表現として"If anything can go wrong, it will" - 「うまく行かなくなる可能性があるものは、うまく行かなくなる」。今までの経験の中で何度となく「マーフィーの法則が来た」と感じたことがあり、開発・運用において常に頭の片隅で気にかけています。
日常生活に関わるバージョンとして、"It will start raining as soon as I start washing my car."「洗車し始めると雨が降る」というのは、そうなんだと共感されるのではないでしょうか。
ヒューマンインタフェースにおいて、押されるように設計されたボタン・スイッチ類は押される可能性があります。当たり前とも思われますが、緊急停止スイッチなど通常では絶対押して欲しくないスイッチもあります。それらも実際に意図しないタイミングで押されます。何故ならスイッチは押せるようになっているからです。そのようなボタン・スイッチは、誤操作防止としてダブルアクション(カバーを外さなければ押せない、レバーを引き上げないと操作できない等)が必要な型式へ変更すべきです。
作業手順においても、誤解を招く表現であるが間違いではないために改善しないままとすれば、何時か誰かが誤解して間違いを犯し、運用事故につながります。些細な改善を怠ったために、重大な結果を引き起こすこともあります。
運用に関して、自分が不得意としている異常処置、訓練不足な事項があったとします。例えば、運用要員のテストにおいて、その恐れていたことが試され、やはり対処できず、不本意な結果となります。それでもそのまま放置すれば、実際の運用でも同様なケースが生じ、取り返しのつかない結果になります。
「人間はミスする」というヒューマンエラーそしてマーフィーの法則を考えると、人間はある意味で愚かなこと(Fool)をしてしまう可能性があります。設計の段階で誤操作を行っても危険とならないように、以下のようなフールプルーフ(Fool Proof)の考え方も必要となります。
① 排除
- 作業が必要とされる要因や禁止事項の生じる要因を取り除き、作業に必要な記憶、知覚、判断、動作等の機能を不要にする。
② 代替化
- 作業において作業者に要求される記憶、知覚、判断、動作等をより確実な何らかの方法により代替化する。
③ 容易化
- 作業に必要な記憶、知覚、判断、動作等の機能を作業者に行いやすいものにする。このためには、適合化、共通化、集中化、特別化、個別化などが必要である。
④ 異常検出
- 作業ミスが発生しても、引き続く作業系列の中で、それに起因する標準状態からのずれが検出され、是正されるようにする。
⑤ 影響緩和
- 作業ミスの影響を、その波及する過程で緩和吸収するこを目的とし、作業を並列化するか、あるいは緩衝物や保護装置を設ける。
参考文献