チーム・マネジメント

有人宇宙の運用管制から、チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

腕時計には不要な部品は無い 【チームの力】

チーム(Team)という用語は広く使われていますが、再確認してみると「ある目的のために活動を同じくする人々の集まり(明鏡国語辞典)」との定義が私の理解と最も一致しています。キーワードとなるのは「ある目的のために」であり、「使命のために」、「ミッションのために」、「志のために」とも置き換えることができます。チームは、ただの人々の集まりである集団やグループとは一線を画します。チームを構成するには、複数のチームメンバーが所属し、協力しあって、ミッション達成に向けて活動すること(チームワーク)が求められます。

 

今日まで、運用管制チームの立ち上げ、育成訓練、維持管理において一翼を担ってきました。宇宙システムの運用管制は24時間シフト体制となるため、自分たちの役割責任を交代して日々の業務を進めています。専門分野も細分化しているため、運用管制チームを更にサブチームで分けて活動をしています。

 

チーム活動について、最低のエアラインからナンバー1企業へ再建させた元コンチネンタル航空CEOのゴードン・ベスーンの言葉を引用します。

私が時計の蒐集家であることをお話しておきたい。私は時計に目がない。時計は、たったひとつの仕事をするために、何十、何百という部品がみごとに力を合わせている。その持ち主に、正確な時刻を知らせるという価値を創造している。あらゆる部品が、この価値創造には欠かせない。部品のひとつでも壊れれば、時計という機能が損なわれ、あるいはまったく機能しなくなる。針も文字盤もない時計が役に立たないことは言うまでもないが、脱進機や主ゼンマイを止めている小さなネジがひとつはずれただけでも、時計は役に立たなくなる。つまり、要らない部品など、ひとつとしてないのである。
 

目的やミッションが大きくなればなるほど、人ひとりで達成することは困難となり、チームが必要となります。大規模・複雑化している宇宙システムのすべて理解している人、24時間連続して管制室で従事できるような超人的なスーパーマンもいません。また、チームメンバーそれぞれに短所も長所も備わっており、全ての短所を克服することはできませんが、チームとして見れば長所の相乗効果で個人の能力を遥かに超えたパフォーマンスを発揮することもできます。

 

f:id:fujihisa:20150604114908j:image

Credit: NASA