チーム・マネジメント

有人宇宙の運用管制から、チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

まえがき

宇宙に関わる現場の一つである宇宙システム(ロケット、人工衛星、宇宙ステーション)の運用管制に長年従事してきました。宇宙の仕事も例外ではなく、人々が協力しあって使命(ミッション)を達成する必要があり、人がシステムに組み込まれ、チームの一員として活動することが求められます。

 

組織を機能させ、管理するために、マネジメント(Management)の重要性が取り上げられます。マネジメントというと、ピーター・ドラッカーの名著(私も愛読しています)が挙げられますが、社会、巨大組織、会社経営の研究が中心です。また、経営学ならばMBA(Management of Business Administration)や著名経営者が著作された指南書など、プロジェクト管理について挙げればPMBOK(Project Managment Body of Knowledge)などもあります。

 

それらの知識は、高いポジションの方には役に立ちますが、現場で目の前の仕事に活用できるかを考えると、少し高尚すぎる内容かもしれません。このブログでは、日々の仕事で参考となる「チーム・マネジメント」すなわち「チーム機能を利用することによって、個人の能力を超えたチームのパフォーマンスを引き出そうとすること」に焦点を当てていきます。

 

現代の情報洪水のなか、重要な考え方、素晴らしいアイディアを目にする機会が多くありますが、十分吸収し、理解しているとは到底思えません。このブログでは、宇宙システムの運用管制における経験を通じて得られたチーム・マネジメントへの考察を記録し、少しでも参考となるように体系化していきます。