読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

機械やロボットを信用できるのか 【協調】

ヒューマンインタフェース 情報通信
「人間と機械(ロボット)は共存できるのか」と産業発明以来から問われ、永遠に結論は出ないかもしれません。現代の我々は、身の回りに多数の機械に囲まれて生活をしています。既に共存しているのですが、人間対機械の戦いとの構図で捉えると、辿り着くのは人類滅亡の終末に慄くことになってしまいます。

Google傘下のDeepMind社が脳の働きを模擬した深層学習(Deep Learning)技術を導入したアルファ碁(AlphaGo)によって、韓国の囲碁プロ棋士に3連勝し、対戦成績は4勝1敗でした。次の打つ手で選択肢の多い囲碁人工知能(AI:Artificial Intelligence)が勝つことは十年くらい先と言われていましたが、それが成し遂げられてしまったので衝撃的なニュースとなっています。

まさに人間対機械の象徴になっています。以前にもチェスや将棋にてAIが勝ったことがニュースとなりましたが、実際の構図は、勝てるようにAIをチューニングする技術者とプロ棋士との戦いではないでしょうか。IT技術者が、対戦相手の過去における試合結果を研究して、AIを強化していることが明らかになってきています。

対戦中、AIは膨大なデータを参照できるのに対して、プロ棋士はこれまで研究した内容を記したノートすらも参照できません。これまでの試合は公正でないかもしれません。プロ棋士が、AIが持つのと同様な情報を参照できるようにしたら、どのような結果になるでしょうか。

最近の注目すべき研究結果として、最強のプロ、最強のAI、標準的なPCを使用できる普通の人が対戦した結果、一番勝率が良かったのは標準的なPCを使用できる普通の人であったとの報告がありました。火事場の馬鹿力などとあるように、人間は普段では最大の力を発揮しなくなっており、怠けているのではなくて体力を温存します。人間は、全体像を捉えたり、特徴を捉えることは得意ですが、細かいことは直ぐに忘れてしまいます。また感情的に流されて冷静に判断できなくなります。これらの欠点を機械やコンピュータで補完することによって、人間の能力を高めることができます。

機械を伴った人間が最強であるとしても、機械やロボットを機能的に信頼できるかもしれませんが、信用して共感できるのでしょうか。音声認識技術を用いた会話ロボットが登場してきました。統計的処理で音声を文字データに置き換え、それに適した対応を選択して音声で回答します。会話ロボットと心から打ち解けて、個人的なことまで赤裸々に話したいとは思いません。

人間の会話では、言葉だけではなく、表情や何気ないしぐさを通じて相手の感情や心境を読み取っていますが、音声認識だけで捉えるのは相当に困難です。日頃、些細な口論となるのは相手を思慮することが不十分な場合です。長い間一緒に進んできた仲間ならば、言葉を発しなくても、目を合わせたり、些細な動き(シグナル)を捉えるだけで、仲間が考えていることを瞬時に理解できます。

献身や自己犠牲と言うと美徳として特別なものと考えてしまいますが、「この人のためにがんばろう」という気持ちは何処にでもあります。その気持ちが共感として広がって、周りの人間を巻き込んでいき、その信頼感によってチームが強い力を生み出していきます。ロボットが自分を犠牲にして、人間を助けることができるのでしょうか。簡単に思えますが、その動作をロボットに組み込むにはどうしたらいいか。そもそもロボットは自己を認識していないです。

人類は、知恵から道具を生み出し活用して、社会の繁栄を築き上げてきました。ロボットやAIも道具の延長なのかもしれません。他人が道具(情報通信機器など)を用いて、姿を消しながら、利益を得たり、嫌がらせをしたり、相手を操ろうとしたりしている。人間-機械の関係と勘違いしているならば、人間-機械-人間の関係で理解しなければならないのではないでしょうか。


参考文献