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チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

国際的な場で活躍するためにも必要な 【ネゴシエーション】

ヒューマンスキル
日常生活や仕事においても、交渉が必要な場面は多々ありますが、必要にもかかわらず、学校では基本すらも学んだことはありませんでした。日本では交渉と言うと駆け引きのことと認識され、あまり良い印象で捉えられていないのかもしれません。日本語の交渉と英語のネゴシエーション(Negotiation)とは意味に相違があるかもしれません。Negotiationの語源はラテン語のnegotiumで、negはnotで、otiumはleisureとなります。すなわち、暇じゃなく仕事を進めるとのことから「話し合いにより、互いにある合意点に到達する」との意味になりました。

交渉術について、強硬な立場から交渉の成果を勝ち取るハード型交渉、相手との関係の樹立と維持に重点を置くソフト型交渉に区別されていました。ハーバード大学のフィッシャー教授が交渉について研究を進め、1970年代後半から原則立脚型交渉(Principled Negotiation)を提唱しています。国際的に主流になっており、理解しておいたほうが良いかもしれません。国際交渉や調整の場において、もしハード型のスタイルを取ったとしたら、勉強不足の古い人と烙印されてしまうかもしれません。
原則立脚型交渉 (Principled Negotiation)
 人 …… 人と問題とを分離せよ。
 利害 …… 立場ではなく利害に焦点を合わせよ。
 選択肢 …… 行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ。
 基準 …… 結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ。
利己主義のように解釈してしまいますが、思想や宗教が異なり、基本的な価値観も違う当事者が話し合うとなると、お互いの利益を追求することのほうが成果をあげられます。反対に、先ず考え方を一致させようとしたり、人間の感情に従って議論していたのでは、幾ら時間があっても合意には達しないでしょう。

交渉は人間同士が行うものであり、互いに信頼関係が確立されなければ、合意に到達することはできません。信頼されるためにも、人格はもとより、合意した内容を誠実に実施に移せる力が必要となってきます。

交渉状況について、綱引きのように、お互いに自らの要求が満たされて利益が多くなるまで、引っ張り合う構図で捉えてしまいます。実際には更に、合意に影響を及ぼす外的制約も考慮しなければなりません。外的制約とは、リソース不足、交渉期限、上部からの方針などがあります。交渉状況を図示して表すと逆三角形(▽)の形状となり、左下の一辺が自分の最終ライン(破談になる一歩前)、右下の一辺が相手の最終ライン、上部の一辺が外的制約で表されます。逆三角形の中が合意できる範囲となります。

国際調整を主に担当していた時、勉強不足でBATNAという用語も理解していませんでした。その後、BATNAとこれまでの経験が結びつき、なるほどと思いました。BATNAとは、"Best Alternative To a Negotiated Agreement"の略で、直訳すれば「最善の代替案」となります。

交渉・調整では合意できない相違点が生じます。合意するには、何らかの要求を外して譲歩することも考えられます。お互いに譲歩ができなくて硬直状態に陥ってしまったら、柔軟にアイデアを出して代替案を検討して打破する必要があります。簡単なアイデアは、交渉期限を延長して外的制約を緩めて検討する余裕を設けることです。将来に繋がる新たな条件を加えることで、現状は譲歩する代替案も考えられます。BATNAの意義は、柔軟にアイデアを出して解決していく重要さを示しています。

お互いが求めている利益が共通のミッション(使命)を達成することと認識されれば、交渉相手が共に進んでいく同志となります。そのような提案ができれば、交渉を別の次元に飛躍できるかもしれません。


参考文献