チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

時を駆け抜ける 【標準時】

昼や夜のどんな時にも、太陽や星を見て、正確な日時を言える珍しい人に会ったとしよう。・・・この人物は、時を告げる驚くべき才能の持ち主であり、その才能で尊敬を集めるだろう。しかし、その人が、時を告げる代わりに、自分がこの世を去った後も、永遠に時を告げる時計を作ったとすれば、もっと驚くべき事ではないだろうか。  ジム・コリンズ  - ビジョナリー・カンパニー著者
私たちは、朝目覚ましで起き、始業時刻までに出社・登校、夕方または夜遅く帰宅し、夜更かしをほどほどにして就寝する。常に時計を見ながら生活しているような気がします。日本ならば時計が示す時刻は日本標準時(JST:Japan Standard Time)に設定されています。そもそも日本標準時はどんな時刻なのでしょうか? 少し掘り下げてみます。

「時間とは何か」と問うと哲学的になってしまいます。過去、現在、未来と時が流れているように理解していますが、時間は目に見えて存在するものではありません。我々は黄昏の暗闇の中から日(太陽)が必ず昇ることを経験として知っています。そして、何万年を経て、体内時計が備えられています(以前の記事 シフト勤務の大変さ 【体内時計をズラす】 - チーム・マネジメント)。

太陽の動きを観察して時間を捉えてきましたが、「日時計」が最古の時計と考えられています。太陽が真南に来た時を正午(12時)と見なします。厳密にはこの時刻は局所時(Local Time)となり、場所ごとに正午となる時刻は異なります。日本標準時の基準となっている兵庫県明石市から東京は東へ経度5度離れているため、日本標準時の正午は東京の局所時で12:20になります。

標準時(Standard Time)が初めて導入されたのは、鉄道が全国的に広がってきたイギリスです。今日も世界標準時の基準となっていますが、グリニッジ天文台を通過する子午線における時刻が採用されました。かつては、グリニッジ平均時(GMT:Greenwich Mean Time)が基準となっていました。現在は協定世界時(UTC:Universal Time Coordinated)が基準になっています。

私たちが日頃使っている1秒とは、1日を24等分して、60分の1、更に60分の1に分割した時間のことです。当然と思われますが、厳密には正解ではありません。地球の自転速度が一定でないため、1日の時間は変動します。そこで、地球の自転速度を平均化して定めた時刻がグリニッジ平均時(GMT)となります。すなわち、GMTの1秒は変動します。

変動する1秒を基準にして正確に時計で表すことは困難であり、私たちが日頃使っている1秒は、国際原子時(TAI:フランス語 Temps Atomique Internationl)によって定まっています。原子時はセシウム原子の固有振動数を積算して時間経過を求める時系であり、国際度量衡局(BIPM:フランス語 Bureau International des Poids et Mesures)が国際原子時(TAI)を管理しています。

現在基準となっている協定世界時(UTC)は、原子時で秒を刻み、GMTUTCの差が0.9秒を超えないように管理されてる人工的な時系です。GMTUTCの差が0.9秒を超えないように「うるう秒」として1秒が挿入または引き抜かれます。2015年7月1日(日本時間)にうるう秒の調整が計画されており、通常には無い2015/06/30 23時59分60秒 (UTC)が挿入されます。

さて、日本標準時(JST)ですが、協定世界時(UTC)より9時間進んでいます。すなわち、00:00(UTC)は09:00(JST)となります。兵庫県明石市を通る東経135度が日本標準時(JST)の基準となっているためです。

電波時計が普及して自動で時刻補正がされて便利になっています。またカーナビが搭載されているクルマの時計も手動での時刻補正は必要なくなっています。カーナビで使用されているGPS(Global Positioning System)は米国が軍事用に開発したシステムですが、民間にも使用が開放されています。

電波時計は送信局から送信される標準電波を受信します。日本には送信局が2つあり、東には福島県おおたかどや山標準電波送信所、西には福岡県と佐賀県との県境に位置するはがね山標準電波送信所が設置されています。東日本大震災の後、おおたかどや山標準電波送信所からの標準電波が止まり、電波時計が時刻補正されない日々が続きました。

GPS衛星から時刻や軌道情報などを電波で受信しますが、この配信時刻をGPS時刻と呼んでいます。GPS時刻は、1980年1月6日のUTCを開始時刻としてその後のうるう秒調整は実施されていません。現在のGPS時刻を特定できれば、GPS時刻から16秒引き(2015年6月30日まで)、更に9時間足すことによって現在の時刻(JST)を算出できます。

蛇足になってしまいますが、先ほど原子時の1秒は一定と言いました。しかしながら、アインシュタイン相対性理論に従うと、強い重力場の影響や移動速度が光速に近づけば、時間の進みも遅くなってきます。


参考文書