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チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

全体として捉える知覚、感覚の延長 【ゲシュタルト(Gestalt)】

人間が対象を知覚するに当たって、対象を全体として捉える特徴があります。この特性のことをゲシュタルト(独:Gestalt)と呼んでいます。ゲシュタルト特性を自覚させてくれる作品は数多く製作されており、ネットでキーワード『Gestalt』で画像検索すると参照できます。

ゲシュタルト特性を自覚する例をリンクします。ぱっと見て誰が見てもスティーブ・ジョブズ (Steave Jobs)の絵と認識しますが、個々の点と思われていたものはアップルの製品になっています。ジョブズの顔としては途中途切れていますが、頭の中でパターンを補って理解していることになります。

ユーザーインタフェースを設計する上でも、ゲシュタルト特性を理解しておく必要があります。心理学者 ヴェルトハイマーは、人間がゲシュタルトを知覚するときの法則を以下のように整理しています。

  • 近接の要因 近接しているもの同士はひとまとまりになりやすい。
  • 類同の要因 … 同種のもの同士がひとまとまりになりやすい。
  • 閉合の要因 …  互いに閉じあっているもの同士(閉じた領域)はひとまとまりになりやすい。
  • よい連続の要因 … いくつかの曲線になり得る刺激がある時、よい曲線(なめらかな曲線)として連続しているものは1つとして見られる。

ゲシュタルトは知覚のみならず、感覚にも当てはまります。例えば、自動車の運転に習得してくると、自分の感覚が広がって、自動車が自分になったような気がします。クルマ同士が近寄ってくるとぶつかる感じがしたり、景色の流れる様子を見てスピードを感じとったり、クルマの調子が良ければ気分も良くなってきます。また、重機(シャベルカー、ブルドーザー等)の操作の熟練者は、それこそ重機を手足のように扱い、数センチの精度で操作ができるそうです。

通常は対象を全体として意識していますが、一部の構成要素に注意を向けた途端に全体性が失われ、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識されてしまいます。先ほどの絵において、一つのアップル製品に目を向けると、ジョブズの顔を認識されなくなります。この現象をゲシュタルト崩壊(独: Gestaltzerfall)と呼ばれています。

1972年にフロリダ州マイアミ国際空港において、イースタン401便の航空事故が起きています。最終の着陸体勢に入りましたが、脚を下りたことの確認灯が点灯しなかったため、機長、副操縦士、航空機関士 三名で電球の交換作業、脚を下りたことを目視確認をしていました。クルーの意識は航空機全体ではなく、電球と脚に向いていました。予想よりも高度が下がっていることに気付かず、湿地帯に突っ込み、機体はその衝撃で大破しました。この事故で99名の尊い生命が奪われています。

ゲシュタルト崩壊を起こしたからといって直ぐに事故等につながるわけではないですが、人間が持つゲシュタルト特性を理解しておかなければなりません。


参考文献