チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

チームにおける権威とは 【権威勾配】

チームで活動するにあたり、リーダーにはフォロワーを追従させる権威(Authority)が与えられることになります。リーダーが専門知識や技術に秀でており人格も優れていれば自然と権威を伴いますが、リーダーと言う名だけの権威でチー ムを引っ張っていくには無理があります。

権威が身についたとしても、時と場合によって権威の使い方も理解しておく必要があります。リーダーとフォロワーの権威高低差を示す線を結んだ時にできる傾きを権威勾配(Authority Gradient)と呼んでいます。
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権威勾配が急ならば、絶対服従を求めるチームになっており、フォロワーの意見も聞き入れられずにチームとして訂正機能が働かず、リーダーが間違った指示をすれば失敗を招く恐れがあります。権威勾配が平らならば、リーダーの発言に重みが無くなり、チームメンバーがそれぞれの方向に走り出し、チームとして崩壊するかもしれません。

誤った権威勾配がもたらした失敗例として、チェルノブイリ原発事故(1986年4月)があります。
 上司が、運転員に緊急炉心冷却装置を作動させるための電力を発電タービンの慣性回転を利用して供給できるかどうかの実験を命じた。
 この上司は原子炉特性に関する十分な知識を有していなかったため緊急炉心冷却装置の電源をオフにし、制御棒をすべて引き抜くという無謀かつ危険な行為に走ってしまった。実験を命じられた運転員は原子炉が不安定になったのを知りつつも、上司に言われるままに実験を継続した。
 水蒸気爆発と水素爆発の結果、原子炉の外部に相当広い範囲で大量の放射能が放出された。
カリスマ的なリーダーになればなるほど、権威勾配を認識しながら現状のチーム状況を意識していなければなりません。そして、リーダーは状況に応じて権威勾配を変化させることも必要です。

緊急事態になったら権威勾配を急にして、一刻を争いながら的確に指示を出して、チームを最大限機能させなければなりません。それに対して、日々の業務では、権威勾配を緩やかにして、メンバーに意見を言いやすい環境を作り出し、チームのミッションを共有して、チームの方向性を間違わないようにします。

権威に伴って責任も伴います。失敗した場合、日本では職を辞めることで責任を取った(責任を投げ出した!?)ことになりますが、世界では責任を持ってその問題を収めた後でなければ辞められません。欧米では地位が高くなれば高くなるほどノブレス・オブリージュ(仏: noblesse oblige)が求められます。ノブレス・オブリージュとは「高貴さは義務を強制する」を意味になります。明治まで日本人はそのような気質を持っていましたが、失われつつあるのでしょうか?

参考文献