チーム・マネジメント

チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

疲労という自らの強敵に対峙する

連日忙しかったり、寝不足が続けば、疲労(Fatigue)を感じ、徐々に蓄積してきます。気合を入れて疲労を克服するとか、疲れた顔で頑張っていることをアピールするとかあるかもしれません。しかし、人間は疲労が溜まってくれば、本来の実力は発揮できず、精神的にも不安定となるのは事実です。疲れていたからミスしたというのは言い訳にならず、自己の疲労度を意識して解消していかなければなりません。


疲労を感じるとき、具体的に身体がどうなっているのかを説明するのは難しいです。疲労のイメージとして、金属スプーンの取っ手を曲げ、最初は曲がりにくいですが、繰り返すと柔らかくなり、最終的に破断します。この破壊は金属疲労(Metal Fatigue)と呼ばれる事象ですが、この疲労を理解しておらず、世界初のジェット旅客機『コメット(COMET)』が空中分解する事故に繋がっています。


人が疲れを感じる作業として長時間に渡って続ける単調作業があります。金属疲労のように体の一部を繰り返し使い続ければ、意識レベルも低下していき、何時かミスを犯します。生理的にも、短距離走のような無酸素運動を続ければ、代謝の結果で生じる疲労物質の「乳酸」が大量に蓄積され、疲労困憊してしまい、短時間しか続けられません。この特性を理解して、単調作業は可能な限り機械化を進め、単調作業だけを担当させないようにプロセスを見直す必要があります。


日々の生活において疲労を解消するために睡眠が重要であることを実感します。そもそも人生の3分の1を過ごす睡眠とは何でしょうか? 最新の睡眠学を紐解くと、7時間程度の睡眠が必要なのは、身体を休めることはもとより、脳を保護するためのようです。人間が起きている間、脳には大量の情報がインプットされます。睡眠によって、必要なものと不必要なものに選別して、必要なものは記憶させ、不必要なものは消去するという作業が行われます。


長期間不眠が続ければ、注意力や判断力が低下し、体調不良を感じ、更に進めば幻覚・幻聴を感じたり、免疫力の低下を招くそうです。人間には生命を維持させる機能として「疲れたら眠る」という恒常性維持機構(ホメオスタシス)があります。ホメオスタシスという機能は、脳内にたまった疲労物質「アデノシン」が睡眠中枢を刺激することで眠気が引き起こされるというメカニズムです。問題なければ、睡魔には素直に従ったほうが良いかもしれません。


頭の疲れだけではなく身体の疲れにも睡眠は重要な役割を果たしています。熟睡後(通常23時から2時まで)に活発に分泌される「成長ホルモン」は、成人では傷ついた身体の組織を修復するホルモンとなるそうです。また眠りのリズムをコントロールするホルモン「メラトニン」には、老化を促す活性酸素の毒性を中和したり、体内の有害物質を解毒して無害化したり、腫瘍(ガン)の発達を弱める作用などもあります。


ストレスの多い社会の中で、自律神経の乱れることも疲れの原因となります。闘争モードである交感神経が優勢となり、瞳孔が開き、血圧上昇・脈拍増加、胃腸機能が抑制されます。リラックスして副交感神経とのバランスを取らせ、自律神経を整えなければと思いますが、忙しさに追われてなかなか難しいです。


良質な睡眠や休憩を取らないと、疲労が溜まり、身体を壊して、病気を発症しかねません。疲労蓄積の恐ろしさを認識すれば、精神論で克服を目指すのではなく、積極的に休息を取ることを良しとする考えに変えていかなければなりません。


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