チーム・マネジメント

有人宇宙の運用管制から、チームマネジメント、人間-機械システム、そしてヒューマンファクターズを考える

ヒューマンファクターズ

地球・生命にとって最も重要な要素 【水】

「水五訓」一、自ら活動して他を動かしむるは水なり一、障害に遭って激しくその勢力を百倍にして得るは水なり一、常に己れの進路を求めてやまざるは水なり一、自ら潔うして他の汚濁(おだく)を洗い、清濁(せいだく)併せ容れるは水なり一、洋々として大海…

気高い気質を持って 熱く生きるということ【情熱】

医師は人の痛みを取り除く職業である。当然、世のため人のための思いがなければ医師であってはならないとさえ思う。「この人を絶対に助ける」という、熱い思いを持って、真剣勝負をしなければならない。熱い思いで一生懸命になることが大切なのは、何も医師…

世界の全てを書き下すことができるのか? 【暗黙知】

1950年代にドラッカーが知識社会(Knowlege Society)の到来を予想し、知識労働者(Knowledge Worker)との用語が生み出されました。ドラッカーは、知識が価値を生む社会との説明だけではなく、高い割合の子供たちが進学して知識労働者が増えることも指摘してい…

頼り切っている視力の限界を認識する【視覚】

視覚からの情報は、知覚できる情報の80%を占めていると言われています。確かに、何か変な音を聞いたとしたら、視覚を通じて何が発生したか確認してしまいます。視覚を信頼しきっていますが、信じているよりも視覚は頼りないものなのかもしれません。 視覚に…

意志に従って行動していると思い込み 【無意識】

人間の情報処理能力をコンピュータと対比させて説明しました(以前の記事 人間の情報処理能力 【コンピュータとの違い】 - チーム・マネジメント)。人間の感覚器に入ってくる情報量を総合すると毎秒10億ビットにもなりますが、人間が意識して考えられるのは…

加速して限界速度を超え、持続は力なり 【慣性の法則】

慣性の法則(the law of inertia)は、ニュートン(Newton)運動の第一法則とも言われ、物体は外力の作用を受けない限り、静止または等速度運動の状態を続けることを示しています。宇宙機の運動も基本的にはニュートン力学(Newtonian mechanics)を用いて表すこと…

情熱を秘めて、目標を実現させる力 【モチベーション】

仕事、スポーツ、そして勉学においても、モチベーション(Motivation)が重要視されることが多くなってきました。モチベーションが高ければ、強い動機づけを受け、物事を行う意欲が高まります。しかし、常時高く維持するのは困難であり、低下している時には何…

危機を伝える匂い 感情となる匂い 【嗅覚】

人間の五感のなかで「嗅覚」は、匂いを検知する仕組みが複雑であり、動物的な側面も強く、未だ不明な点が多くあります。鼻腔の奥にある匂い受容体が揮発性の化学物質による刺激を受けることで「におい」を感じます。嗅覚のメカニズムとして、受容体が様々な…

記憶のメカニズムを理解する (後半) 【長期記憶】

長期記憶の特徴として、人間は時間経過とともに記憶が忘却していくことがあります。機械ならば一度データを外部記憶装置(HDD、SSD等)に記憶させれば、故障がない限り、データ欠損もなく半永久的に保持されます。それに対して、人間の記憶は細部まで正確に…

記憶のメカニズムを理解する (前半) 【長期記憶】

以前の記事人間の情報処理能力 【コンピュータとの違い】 - チーム・マネジメントにて、人間の情報処理能力をコンピュータと比較して考察しましたが、今回は記憶に焦点を当てていきます。まず、短期記憶と長期記憶について再度振り返ってみます。我々は起床…

全体として捉える知覚、感覚の延長 【ゲシュタルト】

人間が対象を知覚するに当たって、対象を全体として捉える特徴があります。この特性のことをゲシュタルト(独:Gestalt)と呼んでいます。ゲシュタルト特性を自覚させてくれる作品は数多く製作されており、ネットでキーワード『Gestalt』で画像検索すると参照…

Coffee Break 【カフェイン効果】

寝不足が続いたり、睡魔に襲われそうな疲労を感じたときには、カフェイン効果を期待して、多めにコーヒー等を飲んだりしてしまいます。カフェイン効果を感じる時もありますが、頭の中がスッキリと覚醒しなかったり、コーヒーの飲み過ぎだけど夜に寝れたりし…

疲労という自らの強敵に対峙する

連日忙しかったり、寝不足が続けば、疲労(Fatigue)を感じ、徐々に蓄積してきます。気合を入れて疲労を克服するとか、疲れた顔で頑張っていることをアピールするとかあるかもしれません。しかし、人間は疲労が溜まってくれば、本来の実力は発揮できず、精神的…

暗記ではなく行動の記憶 【スキル】

知識が価値を生む時代になり、情報やデータが重要視されるようになりました。科学技術の発展を受けて、膨大なデータを蓄積・処理できるようになり、ニュース等でもビッグデータというキーワードが頻繁に使われています。その広大なデータの海から必要な情報…

状況変化を確実に把握するには 【状況把握能力(SA)】

航空宇宙におけるシステム運用にて、人間に求められる基本的な能力として状況把握能力(SA : Situation Awareness)があります。状況把握能力(SA)とは「現在の状況を観測し、現在と近未来における自己や周囲の状況を正しく予測・認識する能力」のことです。状…

シフト勤務の大変さ 【体内時計をズラす】

便利の世の中になり、24時間営業も珍しくない時代になりました。朝出社して夕方帰宅する、そんな普通の勤務をここ数年したことありません。シフト勤務、特に夜勤の大変さがよくわかります。500万年前に地球上に人類が誕生して、日が登ると活動を開始し、日が…

何事も起こるべくして起こる 【マーフィーの法則】

学術的に提言されたわけではないですが、有名な経験則としてマーフィーの法則(Murphy's Law)があります。色々なバージョンがありますが、基本的な表現として"If anything can go wrong, it will" - 「うまく行かなくなる可能性があるものは、うまく行かなく…

心の状態を把握する 【意識レベル】

機械は、稼働または停止している状態のどちらかであり、今日は調子が上がらないから成果が出ないなどの状態はありません。所定のパフォーマンスが出せないならば、なんらかの異常・不具合が発生していると思われます。人間ならば朝起きて直後に高いパフォー…

人間の情報処理能力 【コンピュータとの違い】

日々の生活や仕事において、目や耳などから情報を得て、頭の中で考え又は反射的に行動しています。当たり前のことですが、人間の動きを調査して、情報処理システムに当てはめ、人間の特徴や能力の限界を明らかにする研究が進められています。この研究を知っ…

人はなぜ間違うのか? 【ヒューマンエラー】

『人間は間違いをおかす動物である』 自分の行動を省みて心当たりが沢山あります。幾ら訓練を積んで、ベストを尽くそうとがんばっても、人間はエラーを起こします。先ずは冷静にその事実を受け入れる必要があります。 人間の感覚ズレを自覚する例として、目…

ヒューマン-マシーンシステム 【SHELLモデル】

人間が介在するシステム(Human-Machine System)の概念モデルとして、SHELLモデルがあります。SHELLとは、ソフトウェア(Software)、ハードウェア(Hardware)、環境(Environment)、人(Liveware)、人(Liveware)の頭文字を取った名称です。SHELLモデルは、ヒュ…

人間が生存する意義 【Human Factors】

組織とは、法律上の擬制である。組織そのものは、何も計画できず、何も決定できず、何も行動できない。計画し、決定し、行動するのは、一人ひとりの人間である。 ピーター・ドラッカー 高度に科学技術が発達し、情報が瞬時に世界中を駆けまわり、国家やグロ…